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各地の地域傾向~11月の記念日(いい肉の日)編~ その2

2021.03.01

弊社では、WEB上で誰でも無料で使用することのできるマッピングサービス「47maps」を展開しています。
今回のレポートでは、47mapsのツイッターにて紹介している各種地域傾向を少しだけ掘り下げてご紹介したいと思います。

前回のレポートにて、11月29日の「いい肉の日」にちなんで東西で肉類の消費傾向に違いがあることをご紹介しました。
東日本は豚肉食、西日本では牛肉食の文化が浸透しているというお話でしたが、今回はもう一つの代表的な肉類といえる「鶏肉」の消費傾向について取り上げたいと思います。

(前回レポートは こちら

1.ツイッターへの投稿内容

改めて肉類消費について見てみると、鶏肉の購買力は西日本で高く、とりわけ近畿・九州で高い傾向を見せています。
近畿地方は牛・豚・鶏のいずれも購買力が高く、肉好きな地域ということでその理由も気になりますが、前回のレポートで牛肉文化のご紹介をしたこともあり、今回は九州地方にフォーカスしてみたいと思います。

こちら をクリックすると47mapsサイトにアクセスできます。各地のズームもできますので是非アクセスしてみてください!)

2.九州の鶏肉購買力が高いのはどうして?

チキン南蛮やとり天・かしわ飯など、鶏肉料理の盛んな九州ですが、ここまで鶏肉が浸透したのにはこのような理由があります。

1. 江戸時代、福岡藩(黒田藩)では鶏卵の生産が盛んだったことと、南九州で日本在来種の鶏が闘鶏用として飼育されていたこと
2. 鶏肉が安価になるきっかけとなったブロイラーの生産量が南九州で非常に高いこと

江戸時代の後期、福岡藩の黒田氏が藩の財政確保の面から組織的に鶏卵を生産し江戸や大阪に輸出をしていました。度重なる飢饉などの不況を打破するための手段だったと見られています。

その中で、卵を産まなくなった親鶏を食べたことから福岡での鶏肉文化が始まったと考えられています。
当時は獣肉食に対する禁忌の考えもあったことを踏まえると、他の地域に鶏肉を売るというのも難しかったのかもしれません。

その後、明治以降食肉文化が一般に浸透していきますが、戦後に食肉専用種であるブロイラーが日本に入ってくるまで、鶏肉はずっと高級品でした。
そのような時代のはるか前から闘鶏用の鶏として「薩摩鶏」が飼育されてきた宮崎県や鹿児島県では、シラス台地という特性と豊富な飼育ノウハウもありブロイラーの生産も非常に盛んで両県とも生産量上位となっています。(平成31年度畜産統計より)

また、近畿地方などとともに九州では鶏肉のことを「かしわ」と呼ぶことがありますが、これは日本在来の鶏が茶色い羽をしており、「柏の葉」の色に似ていたことからきているそうです。
現在の鶏は白い羽の品種(ブロイラー)が大半なことを考えると、他の地域に比べて鶏と接する機会が九州では昔から多くあったことがわかりますね。
これらのことが九州での鶏肉文化を形作っていったものと考えられます。

まとめ

今回のレポートでは2回に分けて日本各地の肉類の消費傾向を見てきました。
地域によって気候や土地の特性が異なるため、それぞれの地域での飼育に適した動物が飼育されてきたことが今日の消費傾向の違いに影響していることが見えました。

現在ではいろいろな種類のお肉を容易に手に入れられるようになりましたが、それでも地域で消費傾向に違いが残っているのは面白いですね。
お肉を使った料理をされる際は普段あまり使わないお肉を使ってみるというのもいかがでしょうか?

<参考資料>

産経ニュース|鶏食文化は福岡にルーツ 竹川克幸氏
https://www.sankei.com/region/news/170901/rgn1709010028-n1.html

SATETO|九州の人が鶏肉好きなのには理由がある!? もっと知りたい!鶏肉のこと
https://coop-sateto.jp/article/basic_chicken-2/

はかた一番どり|鶏が先か、卵が先か。福岡は卵が先!
http://ichibandori.jp/2017/08/28/タイトルタイトルタイトル-6/

日本家禽学会|日本鶏の紹介
https://jpn-psa.jp/kakin/

鹿児島地鶏.com|鹿児島地鶏とは?
http://鹿児島地鶏.com/2018/05/28/hello-world/

食用鶏の歴史と今 食 – 農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1612/pdf/1612_03.pdf

畜産統計調査 – 農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tikusan/

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